03. 活動報告

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新薬とジェネリック医薬品~先般の勉強会を踏まえて~ 薬務課

後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム(概要)

1.医薬品と特許について

  • 医薬品の開発には、長い期間と多額の研究開発費が必要なため、開発した医薬品の知的財産権を適切に保護しないと、継続した新薬の研究・開発が困難になる。そこで、新規に開発された医薬品(以下「先発品」という。)は特許権で保護され、その期間は独占的な市場流通がなされる。
  • 特許期間は、一般的に「特許出願の日から20年」とされているが、一定期間の独占排他権が侵食される場合は5年を限度に特許期間が延長される。医薬品の場合は、薬事法により製造販売承認のために臨床試験が義務づけられているため、これに要する期間の延長が認められている。
  • 医薬品に係る特許の種類としては、次のとおりである。
    • 物質特許:医薬品成分などの新しい物質に与えられる特許。
    • 用途特許:特定の物質に対する新しい効能・効果に与えられる特許。
    • 製法特許:物質の新しい製造方法に与えられる特許。
    • 製剤特許:薬の安定化など製剤上の新しい工夫に与えられる特許。
  • ジェネリック医薬品(以下「ジェネリック」という。)を開発・販売するためには、物質特許と用途特許の期間が終了している必要があるが、先発品に新たに用途が追加されることがあり、その部分の特許が残っている場合がある。

2.市販直後調査について

  • 新薬(先発品)が承認されて流通開始直後は、医師がその使用にまだ慣れないことや臨床試験では見つからなかったなどの理由で、発売直後に様々な人に使用されることにより重い副作用が発現する例も少なくない。このため、厚生労働省では、発売後6ヶ月間は慎重に使用するよう要請するとともに、製薬メーカーには重篤な副作用が起きていないか調査、情報収集を行うよう指示することがあり、この調査を市販直後調査という。
  • 市販直後調査の結果は、6ヶ月の期間終了後2ヶ月以内に厚生労働大臣に報告することとされている。

※ジェネリックは、先発品の特許期間が過ぎ副作用情報等が集積された後に同一の有効成分で製造されているため、この調査を行うことは求められていない。

【参考1】

市販後の安全対策
  • 製薬企業(製造販売業者)は、先発品やジェネリックの区別なく、副作用情報の国への報告義務や安全対策などの大きな責任を負っている。
  • 医薬品は、多くの人に使用されればされるほど新たな副作用等が確認される可能性も高くなる。また、品質も様々なチェックがなされ市場流通されるが、万が一不良品が流通した場合も安全性の問題が生じる可能性があることから、先発品、ジェネリックの区別なく、製薬企業(製造販売業者)には「医薬品の製造販売後の安全管理の基準(GVP)」に基づき、常に製造販売する医薬品の情報収集や得られた情報に基づく措置が行える体制の整備などとともに、その適切な実施が求められている。
  • 都道府県においても、専門家が製薬企業(製造販売業者)に定期的に立入検査を実施し、GVPに基づく安全管理体制の整備やその適切な運営状況等を確認している。

3.ジェネリックの副作用発現頻度の調査について

  • 先発品は、臨床試験や動物試験の膨大な資料を基に審査されるが、承認前の臨床試験では症例数に限りがあったり、実際の使用法(併用薬や対象者の年齢等の状況)と異なる場合もあることから、承認後に幅広く使用されることで様々な問題が明らかになることもある。そこで、先発品には、承認後再審査を受けることが定められている。
  • 使用成績調査等、再審査のための調査期間は4年~10年で、新有効成分は8年とされている。
  • 先発品が再審査期間中にある場合は、ジェネリックの場合も同等の資料が要求されるため、再審査が終了するまではジェネリックの承認申請は実質的にできない(ジェネリックは、基本的には特許期間と再審査期間の両方が満了していることが必要)。
  • ※先発品がすでに再審査期間中に実施する使用成績調査等を行っていることから、ジェネリックが、使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施することは求められていない。

    【参考2】

    再審査には、使用成績調査、特別調査、市販後臨床試験などがある。

    1. 使用成績調査
      一定の条件を設定して行う臨床試験ではなく全くの日常の診療において、品質、有効性及び安全性についてどのような結果となっているか、問題となっていることはないかなどを調査・確認する使用実態調査。
    2. 特別調査
      小児、高齢者、妊婦、腎機能疾患、肝機能疾患、長期服用者など、臨床試験では対象にできなかった患者に対する調査。
    3. 市販後臨床試験
      • 日常の診療では、確認が難しいと思われる有効性や安全性に関する情報を収集するために、一定の計画の下に行う臨床試験。
      • 具体的には、特別な背景を有する患者での適正な使用方法を確立するための体内動態に関する試験及び延命効果やQOLの改善などについて検証するための試験。
      なお、国内における新薬の使用状況や副作用情報、さらには海外の副作用発生動向などを盛り込んで、使用成績調査、特別調査、市販後臨床試験等の市販後調査により得られた結果は、安全性定期報告として指定された日から2年間は半年毎、その後は1年ごとに厚生労働省へ報告するよう義務付けられている。

    【参考3】

    • 医薬品の製造販売にあたっては、事前に当該医薬品について厚生労働大臣の承認を得ておく必要がある。
    • 医薬品の承認申請にあたっては、医薬品の性格により必要な資料が定められており、最も資料を要求される医薬品は、新たな有効成分として申請される「いわゆる新薬」であり、ジェネリックについては先発品で評価されている資料は省略される。

    承認に必要な資料項目

      先発品 ジェネリック
    起源 省略
    規格
    安定性
    薬理 省略
    動態
    毒性 省略
    臨床 省略
                               

    なお、ジェネリックに使用される(※)医薬品添加物は、先発品と異なるものが用いられている場合も多いが、医薬品に使用される添加物自体が薬理作用を発揮したり、有効成分の治療効果を妨げたりするものは使用できないため、原則として使用前例があり安全性の確認されている添加剤が使用される。

    ※医薬品添加物
    製剤化を容易にする、品質の安定化を図るなどの理由で、製剤に使用される有効成分以外の物質。様々な用途で使用されるが、主なものは次のとおり。

    賦形剤 錠剤、散剤、顆粒剤等の固形製剤に、成型、増量、希釈を目的に加えられる添加剤
    矯味剤 苦味等のある医薬品に味付けするために加えられる添加剤
    乳化剤 水と油のように混じりあわない液体を安定に混じりあわすために加えられる添加剤

    4.原材料について

    • 医薬品は、原料の調達、製造工程の最初から最後までを管理して品質を守るという考え方のもとに品質の確保が図られている。
    • 医薬品の製造業者には、「医薬品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)」に基づいて製品標準書の作成及び医薬品の原料や資材の入荷から製造過程、製品の出荷まで、それぞれの作業手順やチェック方法等について基準書を作成し、これに基づき製造管理や品質管理を行うことが求められている。
    • 製品は、出荷前にロットごとの品質試験を行い、規格等に合格しなければ出荷できない。
    • 外国の製造施設で製造された医薬品が国内流通する場合には、当該製造施設は薬事法に基づく認定を受ける必要があり、こうした製造施設も国内施設と同様に適切に製造管理や品質管理を行うことが求められている。
    • 医薬品の製造業者の他、製薬企業(製造販売業者)には、「医薬品の品質管理の基準(GQP)」に基づいて製造工程から出荷・流通過程まで、製造業者が適切に製造管理や品質管理を行っているか、そして出荷後も流通段階で品質上の問題が生じていないかなどを監視することが求められている。
    • 国や都道府県においても、専門家が製造業者や製薬企業(製造販売業者)に定期的に立入検査を実施し、GMPやGQPに基づき製品検査や管理状況等を確認している。外国の製造施設においても、国の専門家が立入検査を実施している。

    ※以上のことから、医薬品の製造においては、医薬品の原材料の産地の如何に拘らず、生産から流通までの各段階において不適合が生じた場合にそれぞれの段階毎に適切な対応を行うことになっている。仮に、原材料に疑いが生じた場合は、製造を中断し、医薬品を回収する等の措置が講じられることになる。

    5.その他

    (1)中央社会保険医療協議会による調査

    • 中央社会保険医療協議会(中医協)が、診療報酬改定結果検証に係る特別調査として、2007年度にジェネリックの使用状況調査を実施しているが、この中で医師のジェネリックの処方に関する考えがアンケート調査された。
    • 診療所及び病院の医師それぞれ417人及び651人の計1068人においては、次のとおり8割の医師がジェネリックの使用に抵抗がないという結果であった。
    医師の所属 ジェネリックを積極的に処方 特にこだわりがない 患者から要望があっても基本的に処方しない 無回答
    診療所 14.9% 64.5% 18.9% 1.7%
    病院 8.6% 72.2% 17.2% 2.0%
    全 体 11.0% 69.2% 17.9% 1.9%

    (2)医薬品の添付文書情報の閲覧

    すべての医薬品の添付文書情報は、医薬品医療機器総合機構の次の情報提供ホームページから閲覧・印刷できるようになっている。
    http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html

    (3)薬局より聞き取り

    ある薬局に勤務する薬剤師にインタビューしたところ、効能の同じジェネリックが何種類かある中で、品目選択については、メーカーの情報提供がよくされており、供給も滞ることのないメーカーのジェネリックを選択するということである。
    平成7年の厚生白書において、これからの医療の重要な要素として「質、情報、選択、納得」が掲げられており、薬局としても情報提供内容の充実と安定供給を重視しているものと思われる。

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