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東日本大震災では、死者の9割以上が津波による溺死だった。
国は、「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」を設置し検討しているが、6月の中間取りまとめでは、発生頻度は低くても最大クラスの地震に対しては、住民避難を柱とした総合対策の必要性を指摘した。
こうした中、県では、「津波対策推進会議」の下に、津波浸水想定検討部会を設置し、大地震の際の津波浸水予測を見直すことを決めた。
そこで、部会では、海岸近くの堆積物調査などを踏まえて、津波による浸水のシミュレーションを実施し、11月を目処に県内全域の津波浸水予測の素案を示すと承知しているが、この新たな予測を受けて、今後、どのような対策を進めようとしているのか伺う。
それでは、山口議員のご質問に順次お答えしてまいります。
はじめに、東日本大震災を受けた県の防災対策についてお尋ねがありました。
まず、津波対策についてです。
県と沿岸16市町などで構成します「津波対策推進会議」では、これまで、各市町が緊急的に取組みを進めている対策について情報の共有化を図りながら、避難対策を中心に検討を行っています。
具体的には、住民、海浜利用者への津波警報等の伝達方法の統一化や避難を促す新たな手法の導入、また、市町の津波情報看板の表示や津波ハザードマップの作成の共通化などについて検討しています。
また、7月に開催した沿岸市町の首長等との意見交換会を踏まえ、オレンジフラッグの警報としての活用や、津波を観測するGPS波浪計の設置、さらに津波警報を携帯電話に一斉送信する仕組みの整備について、今月13日に、私と沿岸市町の代表者とで国に要望したところです。
一方、津波の規模や浸水範囲の再検証を行うため、本年度新たに設置しました、学識者等による「津波浸水想定検討部会」は、9月2日に中間とりまとめを行いました。
この中間とりまとめでは、今後の津波対策を構築するにあたっては、「避難体制を整備するための最大クラスの津波」と「海岸保全施設等を整備するための津波」、この2つのレベルの津波を想定しています。
そこで、この2つのレベルの津波に対する対応についてですが、まず、「避難体制を整備するための最大クラスの津波」、これに対しては、津波対策推進会議で、津波警報等の伝達方法の改善や強化、津波情報看板等の共通化や増設、また津波避難ビルの指定促進方策や津波避難タワーの整備方向など、県、市町、民間が連携して取り組む対策について検討してまいります。
次に、「海岸保全施設等を整備するための津波」、これに対する施設計画に当たっては、「津波浸水想定検討部会」の意見を踏まえ、費用や効果はもとより、景観や周辺環境に与える影響、さらには国の動向も注視しながら、様々な観点から検討を進めてまいります。
このように、避難対策としてのソフト、施設整備としてのハード、この両面から新たな津波浸水予測に対する津波対策の推進に努めてまいります。
東日本大震災では、県内でも大津波警報が出されたが、情報を聞いても避難しない住民が多数いたほか、沿岸市町の避難対応もまちまちであった。
こうした状況から、津波警報が発表された場合の沿岸市町の対応は、津波対策推進会議の場でしっかりと検討して欲しいが、大事なのは、住民の避難に対する意識の問題であり、住民自身が、迅速に避難することである。特に、津波訓練は、津波避難を真剣に考える機会となり、非常に重要である。
そこで、こうした避難訓練については、沿岸市町との連携のもとに実施することが、重要であると考えるが、沿岸市町との津波避難訓練の実施状況はどうなのか。また、県としてのこれまでの津波対策訓練の取組みと訓練を通じた成果の活用について伺う。
次に、津波対策訓練について、お尋ねがありました。
まず、沿岸市町との津波対策訓練の実施状況についてです。
県では、津波情報の迅速な伝達や避難・救助体制の確立、及び、津波に対する防災意識の高揚を図るため、沿岸市町と合同して、昭和63年度から昨年度まで、延べ11回、訓練を実施しています。
今年度の訓練は、7月29日に沿岸16市町と合同で津波情報の受伝達訓練を行い、次いで7月31日には茅ヶ崎市と合同して、「サザンビーチちがさき」及びその周辺地区で、避難訓練等の実動訓練を行い、私も参加してまいりました。
これまでの津波対策訓練の具体的な取組みですが、夏に津波が発生した場合、多くの海水浴客が被害にあうとの想定に基づき、海浜利用者を対象とした避難誘導や、消防、警察、自衛隊、海上保安庁等による救出救助などの訓練を行ってまいりました。
今年度は、東日本大震災の教訓を踏まえ、海浜利用者に加え、沿岸住民の皆様にも参加していただき、市が指定した避難場所へ避難する訓練を実施しました。住民の皆様方も、真剣なまなざしで、取り組んでいることに、わたくし、深い感銘を受けました。
また、避難場所である小学校が、津波により孤立化したとの想定で、小学校の屋上から、県警ヘリコプターによる救出救助訓練も行いました。
こうした訓練の成果として、多数の海浜利用者や沿岸住民の皆様に、訓練への参加を通じて、避難の重要性について理解を深めていただくとともに、避難場所や避難ルートを確認していただきました。さらに、訓練はもとより、準備作業を通じ、市町や関係機関相互の連携体制の強化を図ることができました。
今後も、訓練内容の充実を図りながら、沿岸市町と合同して、訓練を繰り返し実施することにより、海浜利用者や沿岸住民の皆様の津波からの迅速な避難・救助体制を確立してまいります。
食品に含まれる放射性物質に関しては、厚生労働省において「暫定規制値」が定められ、規制値を上回る食品は食品衛生法により販売等を行ってはならない旨、規制されるなどの仕組みがあるが、不安感はぬぐえず、安全な食品を求める県民の思いは強い。
本県では、食の安全・安心の確保推進条例も制定されており、知事が表明されている、行ってみたい、住んでみたいと思わせる神奈川を実現させるためには、食の安全安心の確保が必須である。
そこで、マグネット神奈川を実現するために、食の安全・安心確保にむけてどの様に取組んでいくのか伺う。
次に、放射能汚染食品問題を受けた食の安全確保について、お尋ねがありました。
東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、放射性物質に食品が汚染されたことは、極めて憂慮すべきことであります。
本県では、原発事故発生直後の3月21日から、食品中の放射性物質による県民の健康への影響や風評被害を防ぐため、農水産物の放射性物質濃度検査に着手し、現在も継続して行っております。
これまで、県内産農水産物や水道水等について、約800検体を検査し、その結果、現在までのところ、お茶を除いて、いずれも暫定規制値を下回っております。
また、放射性物質に汚染された県外産の牛肉が流通したことから、これらの流通防止に努めるとともに、県内で「と畜」される牛について、生産農家ごとの全戸検査を実施しております。
さらに、検査体制を強化するため、ゲルマニウム半導体検出器を衛生研究所に1台増設することとし、9月補正予算案に計上しました。
検査結果につきましては、速やかに公表するとともに、「食品と健康に関する相談窓口」を設置し、県民からのさまざまな問い合わせに対応しております。
また、衛生研究所や農業技術センター等で、食品と放射性物質に関する「出前講座」や講習会を、これまで約90回実施し、情報提供を行っております。さらに「食の安全・安心キャラバン」を開催し、県民との意見交換を進めてまいります。
今後も引き続き、検査体制や情報提供を充実させ、県内で生産、出荷、流通している農水産物の安全性を明らかにし、食の安全・安心の確保に努めてまいります。
今回の放射性物質に汚染された食品の流通の問題に関しては、判断ミスで流通させてしまったこともありました。トレーサビリティが義務化されている牛肉では、所在の確定に威力を発揮いたしました。今こそ、この食品トレーサビリティが求められているときはないと感じております。欧州やアメリカでは、大規模な食品事故に備えて、迅速な製品回収や汚染源の特定のために、食品の移動を追跡するトレーサビリティの確保が法律により義務化されており、今の日本の実情はまだまだ本当に十分とはいえません。
日本の一般食品へのトレーサビリティの導入は自主的にとどまっており、これまでHACCPなどを含む食品衛生管理措置の導入とあわせて取り組まれてまいりましたが、広く定着したとは言い難い状況にございます。
県民の健康な生活の基本である、安全で安心な食品が提供されること、食に関する安全・安心の確保のためには、トレーサビリティの強化が有効であると考えますので、知事におかれましては、国に対して強く働きかけをお願いしたいと要望いたします。