地産地消における栽培漁業の効果についてお聞きしたい。
つくり育てる漁業、まもり育てる漁業などいろいろとやられていると聞いているが、首都圏でありながら、相模湾、東京湾という良い漁場に恵まれており、神奈川県は、恵まれた海を持っている。
しかしながら、水産資源が減少しているのも事実で、それを補うためには、栽培漁業、私としてはすごく目新しい言葉だが、この栽培漁業に力を入れて、地場産の水産物を安定供給しよう、という取り組みをされていると聞いている。
そこで、現状と今後の取組についてお聞きしたい。
まず、栽培漁業の取組について、少し詳しく教えていただきたい。
自然の海では、生まれたばかりの稚魚や稚貝は他の魚などに食べられたり、餌が不足するなどして、生き残るものはごくわずかです。
また、魚種によりましては、いわゆる天然の藻場等ですごすものもあり、埋め立てなどや水質が悪化したことによって、資源が減っているという状況でございます。
そこで、一定の大きさになるまでの間を人が管理しながら飼育し、これらを海に放し、その後は天然の餌を食べ成長させることによって、資源の増大を図ろうという取組が、栽培漁業です。典型的な例といたしましては、明治頃から取り組まれていますサケの放流が有名です。
本県の栽培漁業は、昭和40年代当初に三浦市の城ヶ島にあります水産試験場(現水産技術センター)でアワビの稚貝をつくる研究、「種苗生産技術開発」と呼びますが、それを始めたのが始まりでございます。
現在、県水産技術センターと(財)神奈川県栽培漁業協会が中心となって推進しておりまして、平成18年には、両者で、アワビ約36万個、マダイ106万尾をはじめ、ヒラメ、サザエなど合計7魚種 264万尾の稚魚や稚貝を放流しています。
国と県と第三セクターである(財)神奈川県栽培漁業協会が実施しているとのことだが、その役割分担を伺いたい。
国でございますが、水産庁にあたります。水産庁は、沿岸漁場整備開発法により、栽培漁業の基本的な方針を策定します。また、県が整備する種苗生産施設に対して助成をしております。
一方、県は、国の基本方針に基づき、それぞれの都道府県で行う稚魚の生産や放流目標などを定める栽培漁業基本計画を定め、種苗生産施設を整備し、種苗生産を行ってきました。しかしながら、次第に多くの種類について種苗放流の必要性が高まってくると、とても都道府県だけでは対応できないため、漁業協同組合なども参加した第三セクター、本県でいいますと(財)神奈川県栽培漁業協会を設立し、生産技術が確立し、量産化の見込みがある魚種については、この組織で生産するという方法が一般的に行われています。本県においては、(財)神奈川県栽培漁業協会が、マダイやアワビなどを生産し放流しています。一方、県の水産技術センターでは、経済価値が高く栽培対象種として有望な魚種、ヒラメやサザエについて、種苗を量産する技術や適地への放流技術の開発を行っています。また、国の外郭団体として全国10箇所に栽培漁業センターが設置されており、都道府県の範囲を超えて回遊したり、技術開発が難しい魚種、例えばイセエビやクロマグロなどの魚種について研究しています。
要約しますと、国が、大きな方針づくりと施設整備の助成、種苗生産技術が難しい魚種の研究、県が、個別地域の計画づくりと地域にあった種苗の生産技術開発、第三セクターなどが、技術が確立し、事業化が可能となった魚種の量産化という役割分担となっています。
栽培漁業協会で放流したものが、漁獲量に影響を与えていくと思うのだが、第三セクターの神奈川県栽培漁業協会の経営はどういう状況なのか伺いたい。
本県の栽培漁業協会の経営状況ですが、平成18年度の収入は、1億3,101万円で、主な内訳でございますが、基本財産の利息297万円、漁業者からの負担金や協力金、3,353万円、アワビ稚貝などの販売収入8,573万円、県補助金749万円です。
近年、金利の低迷などの影響により、非常に収入が減少しています。退職者の補充をしないなど支出の節減に努めており、なかなか経営が苦しいのですが、なんとか黒字を維持しているという状況です。
栽培漁業協会の経営が強化されたらうまくいくと思われ、いろいろと経営改善を検討していると思うが、何が一番重要と思うか。
経営改善を図る方法として、種苗販売価格をあげようというのがありますが、例えば、アワビ種苗は、本県が25mmサイズで44.1円で、静岡県でも30mmサイズで44.1円、三重県では25mmサイズ45円とほぼ同様の販売価格です。
しかし、最近の経済状況の悪化から、漁業者などの種苗購入費が減少傾向にあり、価格も他県とほぼ同様ということで、なかなか価格を上げるのも難しい状況にあります。
また、逆に、生産コストを大きく下げて、価格を安くし大量に購入してもらうという方法もありますが、なかなか技術革新が進まないのが現状です。
その中でどうしたらよいかということですが、本県では、他県に先駆けて平成13年に遊漁者からのマダイ協力金制度をつくったという特徴があります。これは、マダイを釣る遊漁者一人一人に一回の乗船毎に200円を払っていただく制度です。この制度は、現在、承知している範囲ですが、他県では2例ほどしかございません。しかし、本県では、当初こそ1,200万円ほど集まりましたが、次第に減っていき、平成16年度には、230万円に減ってしまいました。そこで、何とかするために、平成18年からはマダイ遊漁船業者、いわゆる船宿からも一隻一月一万円の負担金を得ることにして600万円ほどに回復しています。このようなことから、栽培漁業につきましては、広く県民の理解を得て、もう少し協力してもらうということが一番の課題と考えています。
価格を上げるにしても、いろいろな面での経営努力をした上で、初めて栽培漁業の効果が現れてくるものと感じました。今後、ぜひとも関係機関と連携を密にして、密にする、とは言葉で言うのは簡単ですが、いろいろな形で進めていただきたいという要望です。

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