本県を取り巻く社会環境は、少子化や高齢化の進行、間近に迫っている人口減少社会の到来など大きく変化し、取り組むべき課題が山積する中、神奈川の明るく確かな未来を築くため、概ね20年後を展望した「神奈川力構想・基本構想」と平成19年度から4年間にわたる県の取組みを示した「神奈川力構想・実施計画」が策定されたが、その着実な推進が強く望まれている。
こうした取組みを進めるためには、基盤となる財政の健全化と簡素で効率的な行政システムの構築が不可欠なことは言うまでもなく、「選択と集中」による更なる施策事業の見直しと徹底した行政システム改革を、県庁一丸となってより一層取り組んでいく必要がある。
また、本県の将来を考えるに当たって、地方分権を推進し、地方公共団体が自主性・自立性を発揮できる「地方政府」の確立が前提となるが、国と地方公共団体との役割分担の見直しと権限移譲、地方税財源の充実確保など、第2期地方分権改革が実効性あるものとなるよう、地方から国を改革する気概を持って取り組むことが何より重要である。
以上の観点を踏まえつつ、以下の項目について要望する。
神奈川力構想・実施計画の戦略プロジェクトに掲げた目標の達成に向け、位置づけた事業を着実に実施すること。 また、目標の達成状況や事業の進捗状況については、必ず事前事後の評価をするとともに、政策運営の改善や新たな課題への対応を図るなど、計画の適正な進行管理を行うこと。
「神奈川力構想・実施計画」の推進に当たっては、位置付けた事業の着実な実施に努めるとともに戦略プロジェクトの目標達成状況や事業進捗状況について評価を行ったうえで、白書として取りまとめ、評価の結果を基に政策運営の改善方向や課題を抽出し、財政状況を勘案しながら、翌年度の政策運営を図ってまいります。
「地方分権改革」の推進に当たっては、国と地方の役割分担を抜本的に見直し、国の出先機関の廃止・縮小による国の事務・権限の大幅な地方への移譲などを通じて、真の分権改革が実現するよう国に強く働きかけていくこと。
とりわけ、国の出先機関の抜本的見直しについては、二重行政を解消し、国・地方を通じた簡素化・効率化を推進するために不可欠な改革であることから、徹底した見直しを求めていくこと。
併せて、都県の区域を越える広域行政課題の解決のため、八都県市など近隣自治体との連携をより一層強化すること。
また、分権型社会に相応しい地方税財政制度の構築に向けては、基幹税による国から地方への大幅な税源移譲を基本とし、県内市町村の意向を踏まえ、また、他の都道府県等と協調して、国に強く働きかけていくこと。
さらに、現在、国において議論されている道州制の導入は、この国の形を抜本的に見直す大改革であり、県民生活にも大きな影響を及ぼすものであることから、県民の関心を高め、理解を深めるための取組みを進めること。
真の分権改革を実現するためには、国と地方の役割分担を抜本的に見直し、国の事務・権限の廃止や大幅な地方への移譲を行うとともに、国の出先機関について、大胆に合理化する改革を進める必要があると考えておりますので、全国知事会などと連携しながら、こうした点について国に強く働きかけてまいります。
なお、県域を越えた広域行政課題に適切に対処するため、引き続き、八都県市首脳会議や山梨・静岡・神奈川三県サミットなどを通じて、近隣自治体との連携の強化に取り組んでまいります。
また、真の地方分権実現のためには、地方自治体がみずからの判断で自由に使える地方税財源の充実を図ることが必要であり、そのために、基幹税である個人所得課税や消費課税からの税源移譲により、安定的な自主財源を確保することが必要であります。
そこで、さらなる税源移譲を実現するために県内市町村や、全国知事会などと連携しながら、引き続き、国に強く働きかけてまいります。
さらに、道州制について、本県では、全国的な議論の状況等、道州制に関する情報を県民の皆様に分かりやすく提供し、意見交換などを行うことを目的に、地方分権フォーラムや地方分権出前講座等を実施しているところであり、引き続き、こうした取組みを進めてまいります。
県政の運営に当たっては、県民生活の向上が図られる施策を推進することは当然のことであるが、そのためには基礎となる財政の健全化に向けた取組みを確実に遂行する必要がある。
県民生活への影響を勘案すると、急激に県債の発行を減らすことは難しいことではあるが、将来の県民に過度の負担を負わせないためにも、プライマリーバランスの黒字化を一刻も早く達成すべきこと。
プライマリーバランスの黒字化については、「財政健全化への基本方策」の中で、平成22年度末に達成することを目標に掲げて取り組んでおります。プライマリーバランスの黒字化を達成するためには、県債の発行を極力抑制する必要がありますが、今後の財政収支を見通しますと、税収が大きく減少する一方で、国の平成21年度地方財政対策では、本来措置されるべき地方交付税の伸びは小さく、地方交付税の代替措置である臨時財政対策債による財政措置が大幅に増えたため、本県としても、それに見合った臨時財政対策債を発行せざるを得ません。このようなことから、目標設定時点に比べより厳しさが増し、高いハードルとなっております。
今後とも、必要な事業には対応しつつ、できるかぎり県債の発行抑制に努め、厳しい財政状況ではありますが、目標の達成に向け取り組んでまいります。
4. 行政システム改革の推進について
依然として厳しい財政状況のもと、限られた財源と人的資源により、多様化・高度化する県民ニーズに的確に対応していくためには、今後ますます行政の簡素化・効率化に向けた行政システム改革の取組みを推し進めていく必要がある。
今後の行政システム改革の推進に当たっては、平成19年7月に策定した「行政システム改革基本方針」に掲げた具体的な数値目標の達成をはじめ、方針に位置づけた取組項目の着実な推進を図ること。
とりわけ、企業、NPOなど、新たな公的サービスの担い手として期待される団体とは協働・連携して、多様化・高度化する県民ニーズにより細かく対応していくこと。サービス水準の向上やコストの節減を図ることができると考えられる場合は、民間活力の活用を可能な限り取り入れること。
また、第三セクターについても、県からの支援の見直しなどにより、法人運営の独立性を高め、第三セクターが自らの力で県民ニーズに即したサービスを、安定して提供できる担い手となるような取組みを進めること。
今後とも、変化に対応した質の高い県政の展開を目指し、「行政システム改革基本方針」に基づいて、各種の取組みを着実に推進してまいります。
また、民間活力の活用については、平成19年10月に「民間活力活用指針」を策定し、対象とする業務の検討から民間に委ねた後の検証まで、手続きに沿って考え方や留意点などを整理しておりますので、今後はその指針に沿った取組みをさらに徹底してまいります。
第三セクターについても、県職員の派遣等の人的支援、補助金等の財政的支援、県職員の役員就任など、県の関わりを見直し、あわせて、経営の健全性を高めるよう働きかけることにより、第三セクターがみずからの創意工夫を生かしながら、安定したサービスを提供できるよう取組みを進めてまいります。
今年度は、平成18年度に指定期間を3年間として設定した施設及び21年度から指定管理者制度を新たに導入する施設について、再指定並びに指定の手続きが行われたが、施設の運営に当たっては、コストの節減を達成する一方で、サービス水準が低下することのないよう、運営状況を適切に把握し、必要な指導を行うこと。
また、指定管理者の募集・選定に当たっては、今後とも民間事業者の参入機会の拡大に向けて、丁寧な情報提供に努めるとともに、選定基準の明確化など、選定手続きにおける透明性・公平性を図り、最適な施設の担い手を選定すること。
指定管理者制度導入施設については、指定管理者から毎月提出される月例業務報告書や年度終了後に提出される実績報告書等により業務の実施状況を把握し、必要に応じて業務の改善指導等を行ってまいります。
今後の指定管理者の募集・選定に当たっては、引き続き経済団体等と連携して広報の充実に努めるほか、平成20年度の選定手続きにおける課題等を検証し、選定基準をより分かりやすくするとともに、選定過程の透明性・公平性を一層確保するなど、必要な改善を図ってまいります。
地方分権の進展に伴い、広域自治体としての県には、より高度で専門的な知識・技能を有する職員が求められるようになっており、こうしたニーズにそった人材育成は急務である。
一方、団塊世代の大量退職期を迎え、豊かな経験にもとづく行政のノウハウや技術・技能をいかに継承していくのかが大きな課題となっている。
そこで、行政のプロフェッショナルを育成する観点から、職員のやる気を導き出す職員研修や人事制度を抜本的に改革するとともに、退職者の豊かな知識、経験を中堅・若手職員に継承する視点に立って、再任用制度をより活用しやすい環境を整えること。
さらに、退職者の再就職については、いわゆる「天下り」といった批判を招くことのないよう、「退職者キャリアバンク」の適切な運用など、公平性と透明性の確保に努めること。
県では、より高度で専門的な知識、技能を有する職員を育成する観点から、職員のやる気を導き出す職員研修や人事制度を抜本的に改革することを目指し、職員参加による「新たな人材育成マスタープラン」の策定に取り組んでいるところです。 また、再任用制度の積極的な活用や「退職者キャリアバンク」の適切な運用についても引き続き努めてまいります。
年々増加傾向にある収入未済金の回収は、負担の公平性や、財政健全化の観点から大変重要な課題であるが、各債権管理者が別々の回収作業に取り組むといった従来の方法だけでは限界がある。
収入未済金の回収に当たっては、経験豊かなOB職員や民間人の活用や、県と市町村が連携して債権回収を専門に担当する組織の設置など、収入未済金の圧縮にむけ、県として総力を挙げて取り組むこと。
収入未済金の回収に向けては、平成19年度中に回収強化策を取りまとめ、現在、強化策に沿って、鋭意未収金の回収に努めているところです。
具体的には、未収金の一斉点検や裁判所の関与による支払督促制度の活用などに加えて、弁護士などへの徴収事務の委託にも取り組んでおります。
あわせて、OB職員の活用による専門組織の設置や民間委託の拡大などについても検討を進めております。
高利債の負担金については、平成19年度の地方財政対策において、21年度までの3年間、一定利率以上の公的資金の補償金なし繰上償還が新たに措置されるとともに、併せて民間資金への借り換えが措置された。
ただし、この制度を活用するためには、現行の総合計画の期間外(23年度以降)の財政収支見通しを織り込んだ「財政健全化計画」を策定し、議会等へ報告することが義務付けられている。
しかしながら、本県のように議会の同意を経て総合計画等を策定している団体にとっては、安易に計画を策定することができず、現行制度は要件が画一的で活用するのが難しいものとなっている。
また、財政健全化の取組みが遅れている団体ほど要件が緩和されるといった制度となっていることから、過去の行財政改革の努力の結果、健全性の高い団体であるほど、この制度の活用は制限されてしまう。
従って、高金利で借り入れた公的資金に係る地方債の繰上償還及び借換措置の運用においては、画一的な判断基準に拠らない柔軟な対応や、過去の行革努力への配慮など、公債費負担の軽減を図るための制度の見直しについて、今後も継続的に講じるとともに、22年度以降も同制度が延長されるよう国に働きかけること。
本県では、高利債の償還が大きな財政負担の要因となっている現状等を踏まえ、かねてから国等の関係機関に対して、高利率の政府資金等に係る県債の繰上償還及び低利債への借換えを認めるよう要望してまいりました。
この結果、平成19年度の地方財政対策において、政府資金(財政融資資金及び簡易保険資金)及び公営企業金融公庫資金の補償金なし繰上償還が新たに措置され、あわせて民間資金への借換えも措置されました。(平成19年度から21年度までの3か年)
しかしながら、現行制度は各地方自治体の状況を配慮せず、要件が画一的であるとともに、財政健全化の取組みが遅れている団体ほど要件が緩和される制度のため、本県のように過去の行財政改革の努力の結果、健全性の高い団体であるほど、この制度の活用は制限されてしまいます。
したがいまして、画一的な判断基準に拠らない柔軟な対応や、過去の行革努力への配慮など、公債費負担の軽減を図るための制度の見直しと、平成22年度以降の制度の延長について、今後とも機会をとらえて国に要望してまいります。
本県では、将来にわたり良質な水を安定的かつ継続的に確保するため、「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」を策定し、平成19年度から個人県民税の超過課税を財源として、同計画に掲げられた12の特別対策事業を着実に取り組んでいると理解している。
同計画を着実に推し進めるためには、言うまでもなく市町村との緊密な連携による取組みが不可欠であることから、市町村事業の計画的かつ効果的な推進については、引き続き市町村との十分な調整を図り積極的に支援すること。
また、水源環境保全・再生の取組みは、県民の負担により進められるものである以上、県民から意見を伺い事業に反映させていくことが必要であることから、「水源環境保全・再生かながわ県民会議」での議論を十分踏まえ、県民参加の仕組みの構築を図るとともに、施策の必要性や実施状況などについて、県民の理解が増進されるよう努めること。
さらに、主要な水源である相模湖・津久井湖の集水域は、山梨県側に大きく広がっていることから、同県との共同調査によって実態を十分把握するとともに、具体的な方策についての協議を着実に進めること。
「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」に位置付けた市町村事業については、該当市町村が積極的な事業展開が図れるよう水源環境保全・再生市町村交付金により支援しており、計画を着実に推進させるため、県市町村推進会議や講習会を開催するとともに、対象市町村を個別に訪問し、現地調査・ヒアリングを行うなど、引き続き、市町村との連携を密に図っております。
また、水源環境保全・再生施策の推進に当たっては、県民の意見を適切に反映していくことが必要であることから、県民の皆様などにご参加をいただく「水源環境保全・再生かながわ県民会議」において、施策全体の進捗状況や成果などについて検証・評価をいただくとともに、その結果を県民の皆様へお知らせし、ご理解を深めていただくよう努めております。
山梨県桂川流域での事業については、平成19年度から本県と山梨県が共同で「相模川水系流域環境共同調査」を実施しており、この調査結果を踏まえ、山梨・神奈川両県で、具体的な事業内容や手法について検討してまいります。
地方分権改革の進展や少子高齢化の加速など、社会環境が大きく変化する中にあって、地域が持つ魅力や個性を発信し、その価値を高め、地域の力を向上させていくことは地方自治体が直面している重要な課題である。
平成20年度策定を進めている「かながわブランディング・プロモーション計画」に沿って、様々な魅力に富んだ神奈川を県の内外に広くアピールする実効性ある事業を展開すること。
また、プロモーション活動の展開に当たっては、さらなる神奈川の魅力向上につなげていくために、推進体制の整備や取組みに係る県民参加についても検討し、着実な推進を図ること。
平成19年度に策定した「『かながわブランディング』の取組みについて(かながわブランディング戦略(基本戦略編))」を踏まえ、平成20年度は、庁内検討会議や専門家の意見も伺いながら、プロモーション計画の策定や、情報発信ツール等の検討を進めております。
県民の方々が誇りをもってくらし、また内外に誇れる一層の魅力に富んだ地域となることを目指し、平成21年度以降、プロモーション計画に沿って、神奈川のもつ個性や魅力をかけがえのない神奈川の「ブランド」として総合的、戦略的に発信してまいります。
また、これらの取組みを着実に推進していく庁内体制の整備や、県民参加の仕組みについても、平成20年度にプロモーション計画の策定とあわせて十分に検討し、平成21年度以降の事業展開の中で具体化してまいります。
県有地の利活用については、今後生じる県立高校や高等職業技術校の跡地なども含め、公的利用を第一義とし、地域の理解が十分得られるよう、土地取得時の経過や地域の意向に配慮して推し進めること。
とりわけ、学校の耐震化等の改修工事に当たっては、統合する学校を再利用するなどして改修工事に掛かる経費の削減はもちろん、生徒や教職員の負担軽減が図られるよう努めること。
また、大規模県有地の利活用に当たっては、財政支出の軽減等に努めることはもちろん、県民の利便性の向上に十分配慮するという観点から、公共間の無償譲渡も含め、地元市町村とは綿密な協議を行うこと。
さらに、地域に相応しい公共的・公益的な活用が見込めず、民間に売却する場合は、一般競争入札や公募抽選など公正・公平な手法を用いることは当然のこと、契約当事者に対して地域事情を考慮した土地利用に努めるよう促すこと。
県有地の利活用については、県の施策を展開するために、原則として県みずから利活用することを検討することになりますが、その場合は地元の方々にとっても非常に関心の高いところですので、地元市等の考えを参考にしながら活用を検討してまいります。
また、県みずからが活用しない場合にも、地元市において、その地域にふさわしい公共的、公益的な活用の意向があれば優先して譲渡してまいります。
このような公的な活用が見込まれない場合には、民間の有するさまざまなノウハウを生かすという観点から、民間に売却することとし、原則として一般競争入札を行うこととなりますが、この際、必要に応じて、県有地に関する地域の動向などを情報提供することについて、今後、検討してまいります。
なお、耐震化工事の実施にあたり、高校再編による非活用校に移転して工事を行うことは、生徒の安全や良好な学習環境の確保、工事費の削減、工期の短縮などが期待できますが、地理的条件により生徒の通学負担が過度に増えないこと、学校規模が同程度であること、耐震性など非活用校の施設状況等の条件がそろわないと難しいため、こうした条件を総合的に勘案しながら、検討してまいります。

![]()